第90回 房総カントリークラブ

房総カントリークラブ 東コース18番ホール
房総カントリークラブ 東コース18番ホール


  
  房総半島圏央に、54ホール
  東京・横浜から40分短縮
 
 4月27日から房総半島の圏央を貫通する木更津~東金間の圏央道が開通、アクアラインを利用した東京・横浜からのゴルフ場が30~40分近くなった。週刊ゴルフダイジェスト誌の調査では、各インターからの利用20分以内のゴルフ場が48コースあるそうだ。
 その中から今回は市原鶴舞インターから15分、茂原・長南ICからも15分の房総CC54ホールを紹介したい。54ホールというスケールの大きさ第一位だからではない。20年前初ラウンドした時の印象の強烈さを今も忘れないからだ。
 平成4年3月そのことを筆者はゴルフ界が高級化のトレンドに流されて、コースづくりがファッショナブルに傾きすぎている中で、房総CCは開始以来17年間、競技の場としてのゴルフコースを追いつづけている、という前文の後でさらに次のように解説している。

 たとえば房総ゴルフ場の主舞台東コース18ホール 6979ヤード、パー72のコースはただひたすらに競技のステージとして非凡であろうとしているかに見える。400ヤード級の長大なパー4を6ホール揃えても幅員100ヤード~150ヤードのフェアウェイを備えていて、テイクラウンドに立ったプレーヤーを武者震いさせるのだ。
大きい舞台は無言のうちに長打を求める。剛毅な表情をしたフェアウェイ、ラフ、その果てに高くせり上ってフラッグを翻しているグリーン。いずれも長打を期待した表情である。
 どのホールも長く、広く、ストレートに伸びている。巧妙に置かれたバンカーもフルスイングで大きく打たれたボールでなければ越えられず、ゲームプランも組み立てられない、そんな戦略的な場所に置かれている。
 飛距離がこのコースのストラテジーである。
 これほどに豪快なコース展開を設計したアーキテクトは誰だろうか。各務鉚二。目にすることの少ない名前である。調べると『世界のゴルフコース発達史』(佐藤昌著)に、「大日本土木工務部長、専務。設計コースは房総CC、ロイヤル高松CC」とあった。有名な人ではない。
 恐らく建設に当った大日本土木の自社設計で、工務部代表の各務鉚二の名で代えたものと解釈していた。この件は平成18年~21年にわたって行われた房総東・西、大上ゴルフ場の改造をめぐる取材であきらかになった。
 
 主役は豪放設計の東コース7107ヤード
 
 東コースは、昭和51年8月18ホール開場。平成19年4月改造工事を完了している。改造監修は海津康志。
 西コースは昭和50年11月18ホールを開場、平成18年12月改造工事を完了、改造監修は同じく海津康志である。大上ゴルフ場はややおくれ61年10月オープン、平成21年6月改造工事完了、監修はここも海津康志である。
 3コースを最もよく知るアーキテッドだったからだ。
 海津氏によると、東西コース造成については、大日本土木の仕事のうち設計段階を人気設計家、上田治が、大日本土木社員の各務、海津に助けられながら進めていたようだ。当時すでに上田は70歳近く、房総CC設計・施工では大日本土木が主役、上田は影武者だったようだ。
 このような事情で、海津康志は房総CCを知りつくした設計家だった、と考えると、東・西、大上の54ホールを一括海津監修にした動きは理解しやすい。
 「上田先生の設計理念、方法を大切にしながらの改造を実施しました。」
 と海津は語る。
 
 長打者だけが挑戦OKの12番ホール

 改造で総ヤーデージが200ヤード延び7107ヤードに。2グリーンの高麗をつぶしてベントを200平方メートル拡大して700平方メートル級の大型ベントグリーンを揃えたという。
 こうして東コースは房総CCのフラッグシップとなる。その中で一番の難ホールは?と問うと海津康志は即座にそれは12番ホールと挙げた。
 東12番(540ヤード・パー5)第1打は幅広くストレート。誰れもが思い切り振れる。問題は2打目以降、改造前のフェアウェイにあった一本松の大木の右をゆく3オン狙いか、グリーン左手前のバンカーの前にレイアップしての3オンペースか。コースマネージメントが勝敗のポイントになる。冒険家の飛ばし屋はバンカー越えの2オン狙い、用心深くバンカー手前にレイアップする人は慎重に、左のフェアウェイを狙うこと。改造監修の海津氏は「残念ながら私はいつも左フェアウェイを選びます」だそうだ。
 東1番(447ヤード・パー4)距離のあるタフなパ―4である。第1打は飛ばしたいが、力んで右の林立に入れるのは厳禁。2打で花道に置けばアプローチは楽である。
 
 東コースはプロゴルフ機構と提携
      毎年房総カップを開催
 
 東コースは、平成18年以降JGTO(日本ゴルフツアー機構)つまりツアープロゴルフとの提携コースであり、毎年トーナメント2部のチャレンジトーナメント房総CCカップを開催している。
 最近3年の優勝成績はつぎの通り。
 2009年 ①久保勝美 69 69 138 -6
 2010年 ①中山正芳 69 70 139 -5
 2011年 ①小泉洋人 67 65 132 -12
 2010年には(4T)川岸良兼-4。真板潔-4、東聡-2など有名プロの名もある。果してプロのステージとして房総CC東の地位はどう評価されるだろうか。
 

房総カントリークラブ 大上ゴルフ場18番ホール

房総カントリークラブ 大上ゴルフ場18番ホール

 西コース・大上ゴルフ場の人気ホール

 西コースは、18ホール・6600ヤード・パー72と短く、東コースに比べてプレーし易い展開。グリーンは、改造でベントの2グリーン。中から難ホールを挙げると、
 西5番(461ヤード・パー4)距離があり、さらにグリーン前に2段の池がある。西コース随一の難ホール。2打目の戦術がキーポイント。
 西9番(350ヤード・パー4)短いが右にOB線が近く。第2打、グリーン前の池が、気になる。どう越えるか、逃げるか、戦略が分れる。
 西11番(403ヤード・パー4)強い打上げでヤーデージもたっぷり。さらに左ドッグレッグ、折れ目にはバンカーも隠れている。西コースでは4番目の曲者ホールである。
 大上ゴルフ場・18ホール・6787ヤード・パー72。設計者は富澤廣親。戦前からの設計家で、戦後新設ブームの主役の一人だった富澤誠造の一人息子。早くから父の下で働いていたが、後に外国、日本のプロとの共作、監修したコースが増え、米国流の独特の手法で人気。代表作は北海道札幌に近い恵庭GC。大上コースの改造はこれも海津康志。ベントの1グリーンである。
 大上・2番(609ヤード・パー5)房総CC最長のロングホールで、しかもフェアウェイは柔かく蛇行している。OBエリアが遠くて狭い右ラインからフェアウェイを辿るのが狙い目か。グリーン周りにバンカー4個あり。
 大上・8番(393ヤード・パー4)第1打落下点附近には池があるので第1打は左狙いだが、左はOB線も遠くはない。グリーン入口の花道には両側にバンカーが頑張っている。第2打、アプローチの第3打を賢く叮嚀にプレーしたい。
 大上・18番(495ヤード・パー5)両側に林立する樹林のOB線が近い。2オン狙いはグリーン手前の池、左背後の4個のバンカーが気になる。池前に第2打を置いての3オンが賢い。
 

コース規模     (東)18H・7107Y・P72
            コースレート 73.2 ベント1グリーン
            開場 昭和51年8月
             (西)18H・6600Y・P72
            コースレート 71.6 ベント2グリーン
            以上2コース設計 各務鉚二 改造監修 海津康志
            開場 昭和50年11月
コース所在地(東・西コース) 千葉県長生郡睦沢町妙楽寺2300
コース規模     (大上)18H・6787Y・P72
            コースレート 72.2 ベント1グリーン
            設計 富澤廣親 改造監修 海津康志
            開場 昭和61年10月
コース所在地(大上コース) 千葉県長生郡睦沢町妙楽寺1262
経営会社      房総カントリークラブ