第30回 ボナリ高原ゴルフクラブ

日本一、秋になったらボナリ高原

会津連峰の自然そのものを大借景にした ボナリ高原GC 8番グリーン

会津連峰の自然そのものを大借景にした ボナリ高原GC 8番グリーン

 秋である。
 秋になったら、ボナリ高原ゴルフクラブのコースを忘れないようにしよう。そこが、日本で一番美しい、秋景色のゴルフコースだからだ。1番ティに立つと、左正面に、設計したロナルド・W・フリームが、「私はこのコースを磐梯山のためにつくった」と誇らし気に指さして見せた磐梯山の山姿が高い。背後を振り向くと、クラブハウスの上空高く、噴火で山頂を噴き飛ばした火口跡をそのままに留めた安達太良の異形の山頂も残る。その二つの山頂を結ぶ会津連峰の山なみの輪が、会津盆地というカルデラ湖跡を囲って、ボナリ高原GCの大借景をつくっているのだ。そして秋には、それらが競い合い絢爛たる紅葉讃歌となって見事である。

崖越えパー5  ボナリ高原GC 3番グリーン

崖越えパー5  ボナリ高原GC 3番グリーン

 魅力の中心は、恫喝的なまでに戦略化された3番(530ヤード・パー5)である。深さ50~60ヤードの大きな崖を右側に抱えて、第1打はフェアウェイをストレートに250ヤード打つ、そこから第2打は右へドッグレッグし且つグリーンへゆるやかに下り斜面、170ヤード附近からフェアウェイ左部分はアラベスク風に並べたバンカー群、狭くなったフェアウェイの右側は、第1打で敬遠した例の深い崖だ。フェアウェイ伝いの2オンはバンカーにからまれて無理、横に細長いグリーンを左横から狙うことになるから3オンもどうか。秘策はある。コースのオープニングの日、設計者のフリーム氏が、筆者に、「ドライバーで250ヤードの断崖越えを成功すれば、後は8番アイアンで磐梯山を狙って2オンですよ」と明かしてくれた。但し250ヤードの崖越えは、並みの長打力と決断力ではムリか。耳よりな体験談を一つ。ゴルフ上手で有名なA弁護士が、ティからドライバーでストレートに打ったら、250ヤードのフェアウェイを突き抜けたとか。それなら崖越え2オンも恐れナシか。(山の上ですから、追い風、向い風の計算も慎重に、という影からの忠告もあった)
 3番ホールは、攻めて緊張するおもしろさだけではない。各ショット毎に素晴しい景色、シャッターチャンスが生れるから、インターバルを楽しむ余裕も必要である。
 スコアをまとめにくいのは、650ヤード・パー5の13番ホールだ。距離が長いだけでなく、フェアウィエも狭く、グリーン前に深いハロー(窪地)があり、そこからあるいは、そこを越えて高く掲げられた小さなグリーンに乗せるのは、かなりの難儀である。14番(410ヤード・パー4)は、ティグラウンドの前の180ヤードに、やや打下ろし気味の谷越え、バンカー列越えにフェアウェイが横たわっている。その左り端がグリーンだ。左へ狙うほど飛ばし屋ということになるから掛け値なしの自分のドラコンを試してみるとよい。

人気を集めるホールを紹介

遠く安達太良の独特の山姿が美しい ボナリ高原GC 7番グリーン

遠く安達太良の独特の山姿が美しい ボナリ高原GC 7番グリーン

 「ゴルフコースの設計とは、そこに棲む神々との邂逅である」と言った米国の設計家がいるそうだが、もしかしたらそれはボナリ高原をデザインしたロナルド・W・フリームではなかったか。と思いたくなるほど、フリーム氏のボナリ理解は深い。
 その代表例が、3番パー5の断崖越えだが、他にも、フリームの深いボナリ理解、自然解釈から生れた人気ホールが少なくない。
 たとえば5番(220ヤード) 11番(200ヤード)の二つのパー3は、林立する五葉杉の背後高く、遠く、中央に浮く磐梯山めがけて打つと、ボールはグリーン中央にポタリと落ちる設計になっているというかくし話がある。15番(210ヤード)は、距離も長くグリーンは約20ヤードを打ち上げるように高く掲げたパー3だが、グリーン前庭は、尾瀬の水芭蕉群をイメージした美しい水景が印象的で人気が高い。
 筆者は、4ホールのパー3のうち2番(295ヤード)ホールの10月下旬の景色を、絶対的に気に入っている。3番ホールのエキサイティングなデザインも秀逸だが、約200ヤード先硫黄川の断崖に纒りつく花木類の紅葉を、そのまま絵屏風の衝立のように利用してみせた2番グリーンの配置の見事さを気に入っている。ティから僅かに打ち下し気味に見るグリーンは、不必要と思えるぐらいロープロフィールで、それは地上に這わされているようでもあり、後方200ヤードの天然の花屏風をより大きく見せるための演出のようにも思えて、気に入っているのだが、どうだろうか。
 16番(550ヤード・パー5)のグリーンが、崖越え3番ホールのグリーンと、共用グリーンになっていることを知る人は多くはない。17番、18番は短か目のパー4だが、グリーン狙いの第2打には、外観に2倍する難しさがあるから、慎重に、最後のストローク・セーブにトライしたい。

「地球環境の世紀」のゴルフ場
 硫黄鉱山跡に人気コース

 21世紀は地球環境の世紀といわれている。その意味でも、ボナリ高原は、21世紀を先駆けるゴルフコースである。
 コース用地約40万坪は、昭和45年閉山するまで、年間産出高1万7000トンの日本硫黄㈱沼尻鉱山だった。硫黄の採掘権、湯脈権、湯の華をめぐる争いは、元禄以前から会津領、二本松領の間で争われていた。しかし石油から精製される硫黄の登場に押されて閉山。後には朽ち果てた施設と鉱滓捨場だけが残った。断崖ホールの3番附近には、鉱員社宅と精錬所、18番グリーン附近は、長屋社宅の集り、16番グリーン附近は、鉱滓捨場と旧窯製錬所だった。
 昭和62年、ゴルフ場の事業主体磐梯ナショナルパークリゾート株式会社(辻田昌徳社長・大村湾CC経営)が買収、平成3年にコース工事に着手。コース全域に、米国技術により土壌改良された土を、1メートル客土するという大工事から始められ、フェアウェイ、ティ、グリーンはベントグラス、セミラフはブルーグラス、ヘビーラフはフェスキュと、米国仕様の工事が進められた。
 平成17年、ボナリ高原GCは、“環境世紀にふさわしいゴルフ場”として林野庁長官賞表彰(環境庁が出来る前)を受けている。
 設計のR・W・フリームは、米国設計界の第一人者トレント・ジョーンズ・シニアの事務所出身。日本では大村湾CCニューコース、ハッピバレー、パームヒルズなどを設計。
 クラブハウスは、ロッカー棟、事務所棟、レストラン棟を分立させた米国西部の大牧場の牧舎を思わせる建物で印象的。設計は、ペブルビーチの建築家ウィル・ショウである。
(現在の経営は、非鉄金属リサイクルの川嶋グループ・社長 川嶋義勝。傘下ゴルフ場には、ザ・フォレストCC 27ホールがある)

所在地  福島県耶麻郡猪苗代町沼尻2855
TEL  0242-67-1234
開場  平成12年6月20日
コース  18ホール・7010ヤード・パー72
設計  R・W・フリーム