第60回 軽井沢高原ゴルフ倶楽部

 

 

絶景-“森を着たクラブハウス”

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 18番ホールとクラブハウス

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 18番ホールとクラブハウス

 平成10年~17年頃、年に1回必ず軽井沢のどこかでプレーしていた。朝早い新幹線で行って、1ラウンドあるいは27ホール、終わると颯つとまた新幹線で帰る。そんなゴルフ行だった。主として相馬和胤氏(現・倶楽部理事長)の紹介で名門軽井沢ゴルフ倶楽部をプレーした。トップシーズンは無理だから、毎年6月中旬以前か9月中旬以降だった。
 そんな習慣が突然変った。軽井沢を発った足で、軽井沢高原ゴルフ倶楽部に直行、ロッジ(ホテル)に一泊して1ラウンド、という習慣に変った。軽井沢高原GCの何が、筆者を惹きつけたか。そのことを書いた印象的な、筆者の当時の文章があるので、紹介する。
  「人びとは、このコースに来ると、自分自身が森の色に染
  まるのを感じるだろう。
   ここでは、クラブハウスは、まるで森を着ているように見える。スイスアルプスのそれを思わ
  せる建物が、風景の中に溶け込んでいて、秋はバンフスプリングス、春はスイスアルプスを想
  い出させる。そんな佇いが、他所にない軽井沢高原のもつホスピタリティである。
   恐らく日本のゴルフコースの中でも、出色のクラブハウス風景である。
   9番、17番ホールで、ボールを打ちつなぎながら次第にクラブハウスに近づいてゆく。カラマ
   ツの幹の間からクラブハウスの匂い姿が近づいてくる。その頃合いの微妙は、他にない感
   激だ。
   恐らく森がたっぷりのこの土地を発見した人は、絵画的な表養がある人で、迷わずここに決
  めたに違いない、と思ったりする。
   キャディさんが、クラブハウスの遥か上を指さし、「ホラ、あそこを車が通る。前橋へ行く峠で
  す」と教えてくれる。
   峠を頂くその山頂は、クラブハウスの背景になっていて、そのまま屏風絵である。
   ここは高原である。しかし強風がない。
   いつ来ても軟風が吹いている。-そんな空気が漂う。厚い森もあれば、10番ホールのように
  カラマツの疎林もある。低くなったり高くなったり、いろいろな木々の交織があるので、そこに吹
  く風は、軟風になるのだろうか。
   そんな風ばかりではないだろうに、そんな佇いで広がるのが、軽井沢高原ゴルフ倶楽部であ
  る」
 以上は、筆者が、このコースに心をとらえられた第1の理由である。

自然美が創ったコース

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 10番フェアウェイから見たクラブハウス

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 10番フェアウェイから見たクラブハウス

 軽井沢高原GCは、大成建設の設計、施工、経営するゴルフ場である。大成建設は、大倉組時代の昭和3年開場の川奈ホテル大島、富士コース以来、今日まで枚挙に遑がないほどのゴルフ場を造ってきている。川奈・富士コースのように、戦略性の高さでは日本屈指のコースを造った実績を持っている。軽井沢高原GCは、その大成建設が自ら造り自ら経営するグループのショウウィンドウ的な存在である。それでもなぜ軽井沢高原では、川奈・富士のような攻めて難しいコースではなく、自然美に拘った審美的なコースを造ったのか。
 -今あるコースの中で最も素晴しいと感じるのは、自然が創ったコースです-
 これは今や伝説的存在となった名設計家アリスター・マッケンジーの言葉である。軽井沢高原GCも、そういう感触の中で造られたのではないか。同じ頃、軽井沢にも、R・TジョーンズやJ・ニクラス設計のコースが現われていた。大成建設にも長い経験がある。見映えするデザイン技術を持っていた。しかしここではそれを抑えているのが、コースの佇いの中に見えている。だから筆者は好きになる。
 アウトコースも終りが近づくと、このコースはぐーんと楽しくなる。後の山のてっぺんまでを緑にしてしまった大きな景色を背に、クラブハウスが見えかくれし始める。クラブハウスをこのコンセプトで設計したのは誰だろう。その人が一番の貢献者だ。
 「コースもクラブハウスも皆な、社員でつくったのですよ」と支配人は説明する。
 これだけの自然、これだけの森、恐らくこれらは自生していたものだろうと思うが、コース管理部長によると、原自然そのままに見える森林は自生、移植されたのも域内からの移植である。その数130種、数77万本。アウトは9ホールが自生木と移植木、インは10、13、14番ホールが自生木と移植木、11、12、15、16、18番ホールはすべて自生木である。自生木は、1番ホールが、ズミ、シラカバ、アカマツ、シャクナゲ、ブヨウマツ、ナラ、シラカバ、カラマツ、コブシなど、10番ホールがアカマツ、フヨウマツ、カラマツ、ナラ、シラカバ、ヤマザクラ、モミジなど、共通したものもあれば、独特な木々もある。

「大いなる休日」を楽しむための18ホールズ

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 9番ホール

軽井沢高原ゴルフ倶楽部 9番ホール

 軽井沢高原GCのコースは、1番ホールからスタートすることをすすめたい。1番(566ヤード・パー5)は、フェアウェイも広く景観も広いので、第1打を安心して打てる。朝スタート向きだ。第2打は、左から張り出している池を警戒、右へ。朝から2オンなどと力まず、右から100ヤード前後のやや打上げのショートアプローチで3オン、パーセーブが、賢明なスタートだろう。
 2番(412ヤード・パー4)は、距離がたっぷり。このコースは、400ヤードのパー4、つまりタフなミドルが多いが、ここもその一つ。カラマツ林に沿て軽くドッグレッグしているが広い。第1打は左フェアウェイバンカー狙い、第2打は2オンか、グリーンバンカーの手前に置いて第3打狙いか、第1打の飛び如何の判断となる。
 4番(466ヤード・パー4)は、ハンディキャップ1番の難ホール。距離があるので2オンに拘らず3オンも、第2打を左側池の手前に止めて、第3打は、砲台グリーンの傾斜をよく見て、左からグリーンオン狙い。
 7番(417ヤード・パー4)グリーン手前40ヤードのクリーク越えを慎重に読みたい。
 9番(559ヤード・パー5)谷越え第1打は、右OBゾーンを警戒して、左方向、前方クラブハウスを狙うつもりで。4オンでもいい。1打毎に近づいてくる景色-背後の峠の裾に映える白いクラブハウスの屏風絵が目に楽しい。
 アウトコースに比べると、インコースは13番まで楽なホールが続く。特に12番まではパーセーブを狙いたいが、どうか。
 10番(441ヤード・パー4)第1打は右サイドへ。歩きながらふり返ると、カラマツの疎林の間から見える白いクラブハウスが印象的。第2打も右目にグリーン狙い。外しても右へ、そこからセントアンドリュースオールド17番でやるセントアンドリュース・ランナップショットを試みたらどうか。うまくピタリで、いい思い出になる筈だ。
 15番(576ヤード・パー5)第1打は約30メートルを大きく打下した後さらに10ヤード転がり続け、2オンの誘惑にも駆られるが、左へ誤ると3オンも怪しくなる。第1打如何がパーセーブへの道だ。左からのグリーン狙いは、池、バンカーの二重トラップに邪魔される。
 17番(568ヤード・パー5)谷川越えの第1打は、前方カラマツの左へ。フェアウェイは、ゆるやかに上りながら2段グリーンへ。第3打は、左側に、池に浮いた18番グリーンを上から見ることになるので、次ホール攻略の参考になる。
 18番(176ヤード・パー3)2万平方メートルの大池の水面に浮く名物のアイランドグリーンだ。広いグリーン面はやや右傾斜だが、レギュラティから146ヤード、構わず打って1オンが80%か。コンペならCTから打って1打逆転シーンもあるか。
 このコースは、競技用というより“大いなる休日”を旺んにするコース。コースの性格は明確で意地悪なしだ。見えてるように打てばいい。見て微妙な場面では、バンカーや池の反対側へ落せばいい。コンターライン(等高線)が右から左へ流れている時は、バンカー、池は左へ置くものだ。トラップは、穽として働くだけでなく赤信号でもある。このコースではそれがハッキリしている。
 
所在地      群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢2032
コース規模   18ホール・7031ヤード・パー72
設計        大成建設㈱
経営        北軽井沢開発㈱ 会員制
開場        平成7年7月7日
宿泊施設     クラブハウスに連なってホテル施設あり。 シングル14室
           ツイン18室。 ツイン 5000円。